人生ストーリー

コーチングを通して色々な方の人生ストーリーをお聴きすると、おひとりおひとりのストーリーがとても貴重で、その方の価値が浮き上がってきます。今後のストーリーを伴走をさせていただくことは、私にとっての喜びです。感謝です。


私自身のストーリーも綴ってみました。

興味あることを全てやってきたことが今の道に繋がっている。

そして、今やっている全てのことが、この先の道を創り上げていく。
私の道の価値は「成長」。 

人生初めての決断


「銀行を退職」
  私は特技もなく、やりたいことがわからず、自信がないタイプでした。そんな私が、自分の人生で初めて決断をした!と思えたのが25歳の時。銀行員だった頃、知り合いの影響を受けてアメリカに留学をしたいという思いが沸き上がり、銀行を退職したのです。「仕事が嫌で逃げているのではないか」「アメリカに行っても日本人同士でつるむだろうから意味がない」「銀行を辞めてしまうなんて考えられない」等々、色々と耳に入ってきました。親や上司に反対されたにもかかわらず、その時の自分の意志はとても強く「周りが言うように逃げ越しにはならないぞ!」と心に誓い、突き進む決断をしました。その頃から、興味があることが見つかると必ず行動するという自分の特性が根本にあるのを知り始めました。

「アメリカ留学」
英語がゼロで、勉強もせず、会話すら全く出来なかった私は、日本にいても話せるようにならないと思っていました。そんな私が海外に住み、英語が話せるようになる自分をイメージするとワクワクが止まらず、留学先選択のためにいろいろ調べたり、母校に姉妹校がないか問い合わせをしたり、実現させるための行動力はすごかったです。結果的に1年半過ごしたアメリカ留学が、その後の人生を明るくし可能性を広げてくれたことで、自分の決断は間違いなかったと、今思い返しても嬉しくなります。

この景色に憧れて、留学先をBostonに決めました。

自分改革期(意識的な成長への道)


「自信がなく、自由に意見が言えない私」
  アメリカから帰国した私は、とにかく英語に触れられる仕事がしたいと思っていました。すると、知人の紹介で、夢にみていたような外資系の会計事務所に入所することができました。2001年にアルバイトから始まり、10カ月後には社員になり、結果的にそこで19年間勤務をしましたが、私はこの期間のことを「自分改革期」と思っています。入所当時、英語が飛び交い、25か国程の多国籍なスタッフが働くオフィスは刺激的でとても楽しかったのを覚えてます。たくさんのパーティーがあったり、仕事中には大きな笑い声が飛び交っていたり、みんなが仲良く「ありがとう!」と言い合う、とてもいい雰囲気の職場でした。また、2002年頃には、有志で集まり、会社の会議室で定期的に瞑想会も行われ、色々なことを話し合える仲間に恵まれていました。
  このようにすごく楽しかったのですが、同時に私の中では自信のない自分が浮き彫りになっていきました。楽しいけれど、実は楽しんでいる人たちを見ているだけで、主体的な自分でないことに気づいたり。また、仕事中に傲慢な態度で書類を投げ去っていく人がいて、「ありえないっ!」って驚いたけれども何も言えない自分がいたり。自信がなく、自由に意見が言えない私は、常にストレスを抱えていました。 そして、だんだんと「精神的に強くなりたい」という思いが強くなっていきました。意識的な「成長」への道の始まりでした。


「カンフーを学び始める」
 「意見が言えないのは英語のせいだけではない、私自身の問題だ」「なんで私はいつも聞いているだけなんだろうか。嫌なことがあってもNoも言えずに」といつも自分を責めていました。そこで私は、精神的に強くなるには武道か武術をやるといいと思いつき、カンフーを学び始めました。2004年のことでした。

   数年が経ち、カンフーの基礎でもある太極拳や呼吸気功を学ぶために、幾度か会社の休みを取っては、カンフー学校がある中国の山に修行にも行きました。朝から夜までトレーニング。寄宿舎で生活をしている中国人のカンフーキッズ達と山道を走ったり、片足ケンケンで走ったり、キックの練習等、色々な厳しいトレーニングで毎日全身筋肉痛の修行。2010年には中国で開催された世界武術大会に太極拳の部で出場もしました。体を鍛えるだけでなく、パンチが飛んできたときのかわし方、片足でもフラフラせずに安定感を得る方法、呼吸の整え方、意識・意念の使い方、体の緩め方等々多くを学びました。
   これらの学びは会社生活やプライベートでもとても役に立っていました。例えば、今まではまともに受けてしまっていた人からの尖った言葉やネガティブな反応を、パンチをかわすようによけてみると意識してみたり、クライアントからの苦情にも焦らず安定感ある対応ができるようになったり、感情が出てきた時に落ち着けるように呼吸を整えたり、集中力が出てきたり、周りを気にしてしまうときには意識的に自分軸に戻してみたり。体の動きや体を整えることはメンタルにも大きく関連していると体感し、太極拳や呼吸気功がどんどん楽しくなっていきました。


「コーチングとの出会い」
   その中国にあるカンフー学校には、世界中から武術を学びに来ている人たちがいました。ある時、みんなで並んで気功をしていると、私の斜め前でなんだか特別なオーラを放った人が目にはいってきました。呼吸を整えて気功をしていると、心が落ち着き、感覚が研ぎ澄まされます。そんな時、そのオーラを放った人をみるとフワーっと温かい気のようなものを感じて、私自身の気が流れ、じんわりと涙が出そうな感覚がありました。その人は武術がマスターレベルのエジプト人で、普段はコーチングをしていると聞きました。その当時の私はコーチングをあまり良く知らなかったのですが、ポジティブに考えていけるようになるセッションであろうと思い、すかさずセッションをお願いしました。そのセッションでは、溜まっていたストレスを吐き出すことができ、同時にこれまで溜まっていた悲しみがたくさんの涙となって溢れ出ました。この、エジプト人コーチに中国の山の中でセッションをしてもらったのが、インパクトあるコーチングとの出会いでした。

 
   仕事が忙しく、ストレスによって落ち込んでは、体を整えたり瞑想をして自分を見つめて立ち直るということを何度も何度も繰り返していました。その根本には、もっと自分を好きになって、活き活き生きたいという成長を求め続ける気持ちがあったから頑張ってこれたのだと思います。 

太極拳発祥の地でもある中国の武当山にて!

コーチへの道


「ストレスがマックス状態」
 その後7年ほど経った2016年の夏、仕事での残業が続き、ストレスがマックス状態に至り、6週間の休みを取ったことがありました。理不尽なことに対して、怒りで頭に血が上り、全身の震えが止まらず、涙も止まらず、などということも幾度かあり、身も心も疲れ切ってしまいました。エネルギーが落ち、何をどうしたいかもわからず、仕事のことを考えると涙が止まりませんでした。それまでもやってきていた太極拳、呼吸気功、色々なタイプの瞑想、自己啓発セミナー、セラピー、マッサージ等では、自分を癒しきれなかったのです。

  そんな時、友人から代替医療といわれるホメオパシーの学校の学長を紹介してもらい、6週間のプロジェクトを受けることにしました。ここでの学びは、心を震わせるような感動を味わうこと。一流の音楽に触れ、一流の人のドキュメンタリーを沢山みて、人の道理について語り、神羅万象を学ぶ。これらの学びにより、5週間経過したころにはエネルギーを取り戻すことができ、ポジティブな気持ちで元気に会社に戻ることができました。

「学びの道が一本に繋がる」
  この経験をもとにカウンセリングに興味を持ち、2017年に産業カウンセラーの資格、翌年にはキャリアコンサルタントの国家資格を取得しました。しかし、これらの資格を取得したにもかかわらず、何故かやり切った感を得なかったのです。そこで、中国の山で出会ったエジプト人から受けたコーチングを思い出し、コーチングというものがカウンセリングとどう違うのかを調べ始めました。すると、あのエジプト人コーチがコーチングを学ぶための3日間の合宿を開催するという情報を目にしたのです。人生一度は行ってみたかったエジプトでの開催ということもあり、勇気を持って連絡をして参加することにしました。
  会社で仕事を頑張ってきていたこと、ストレスマネジメントのために武術を学んでいたこと、そして、コーチングへの学びの道が一本に繋がった感覚でした。


「パーソナルコーチをつける」
  エジプトでのリトリート体験で、コーチングをやりたいと確信した私は、会社の友人に紹介してもらい東京でパーソナルコーチをつけました。その方は、私の所属していたグループ会社全体のエクゼクティブコーチングをされているオーストラリア人のコーチでした。その頃も相変わらず、仕事は残業続きで疲れ切っていた私は、1回目のセッションで「もう疲れました。会社を辞めたいです。」なんて言っていました。しかもペーペーの私が「あなたのようなコーチになりたいです!」などと言っていたのです。その時は真剣でしたが、かなり酷い状態だったと今ではそのコーチと笑い話になっています(苦笑)。
   そのコーチのおかげで、私はエネルギーを取り戻し、自分が本当にどうしていきたいのかということを見極めていくことができました。会社でやるべきことを考え、昇格を目指すことに対して真剣に向き合ったり、色々な人にコンタクトをして話を聞いたり、コーチになる道をリサーチし国際コーチング連盟でボランティア活動を始めたり、コーチングの学校に通い始めたり。最終的には、会社を辞めたいという理由ではなく、自分がやりたいことに向かって進んでいくことを目標として、コーチングセッションを受け始めてから1年半、19年間勤務した会社を退職し、コーチとしての道を選択しました。 

やっぱりエジプトは凄かった!

トラウマと向き合う


 「ネガティブとポジティブがあるのが自然なこと」
  全てに陰陽があるように、人の心にもネガティブとポジティブがあるのが自然なこと。今まで、自分の中の多くのネガティブをみてきたけれども、その原因や想いに気づくことにより、自分自身、関わった人、出来事、すべてに繋がりを感じ、感謝の気持ちが沸き上がります。大切な信念と必要のない信念を見極め、必要のない信念は手放し、前に向かって歩んでいく。

「蓋をしていた記憶がよみがえる」
  2008年頃だったか、ある日、ネガティブな想いがあったので、自分を見つめようと瞑想をしていました。すると、「パッ」と幼少期(5歳ころ)のある出来事の記憶がよみがえってきました。それまで、無意識にその記憶に蓋をしていたのですが、記憶とともに蓋をしていた想いも溢れ出てきました。

  3人兄弟末っ子の私は、両親と一緒に川の字で和室に寝ていました。ある夜、物音がしたので目が覚めると、母親がバタバタと部屋からでていきました。豆電球のうす暗い明りの中で、父を見ると正座の態勢で苦しそうに座っていました。「お父さん、どうしたの?」と聞いても返事がありません。すると、父親は体を支えられずフラフラして、前の箪笥に頭をゴンゴンぶつけてました。「えっ?」と思った次の瞬間、バタンと倒れてしまいました。「豆電球のうす暗い部屋で、私の目の前で父親が死んだ。」という映像が、瞑想中の私の中でくっきりはっきり思い出され、驚きとともに怖さや悲しさなどの感情とともに涙が溢れ出しました。子供の私が感じきれずにそのまま凍っていた感情が、一気に解凍されてブワッと溶け出したかのようでした。 


   一回蓋が開くと、この一連の出来事の色々なことを思い出し始めました。父親が倒れて驚いた私は、母親のところにいき、「お父さん死んだ!」と慌てて伝えました。 母は、父の容態が良くなかったので、隣に住むお医者さんの電話番号を探してたところでした。母も驚き、まずは私を寝かそうと姉兄が寝ている子供部屋に布団をひき、「お姉ちゃんとお兄ちゃんが寝てるから、静かに寝てなさい!」と言ってドアを閉めました。私は、「二人を起こしちゃいけないんだ。」「静かに寝ていなきゃいけないんだ。」と、驚きや悲しみを布団の中で一人でこらえるしかありませんでした。
  幼い私は、この出来事から、さまざまな信念を作り上げてしまいました。「私は何もできない。」「私は役に立たない。」「一人で我慢しないといけないんだ。」「辛くても助けを求めてはいけないんだ。」「感情を出してはいけないんだ。」「感情を出すことは迷惑なことなんだ。」布団の中で一人こらえた感情が、深い思い込みとなり、その後の人生にも影響していったのです。 


「全てが完璧」
  父は幸い命を取り留め、現在、その時からちょうど倍の人生を過ごしています。 この出来事を思い出した後に、父と母に話を聞いてみました。母は、まず私を子供部屋に移しドアを閉めた後、直接隣に住む先生を呼びに行きました(たまたま、隣にお医者さんが住んでいました)。深夜だったので、先生が準備をして来るまでの間、母は父の開いた眼を閉じ、心臓マッサージをしていたそうです。その後、すぐに先生が来てくださって、引き続き心臓マッサージをしていたところで、父が生き返ったのでした。そんな状況は全く知らず、父が死んでしまったと思っていた私は、布団の中で怖くて辛い思いをひとりで抱え込んでいました。
  
  この話をしていた時に、父が言いました。「宏美が助けてくれたんだよ! 宏美が母さんに「お父さん死んだ!」って言わなかったら手遅れだったかもしれない。」と。私は何もできなかったと思っていたので正直驚きましたが、母と私の連携、隣にお医者さんが住んでいたこと、全てが完璧で父は息を吹き返し、私も役にたっていたんだということに気づいて、30年間位ずっと秘めていた想いが癒され始めました。そして、改めて母の判断や勇敢な行動をとても尊敬すると共に、長生きしてくれている父に感謝の気持ちでいっぱいです。

   一夜にして起こった出来事で、幼心が創り上げた信念は、その後の人生の生き辛さの一部となっていました。 モヤモヤとネガティブな想いが出てきた時には、未だにこのトラウマにたどり着いたりします。一つ一つ丁寧に自分が持っている感情に気づいていき、頑なに守っていた不要な信念を手放していくと、気持ちよく前に進めていける感覚があり、自分の成長を感じられます。

2020年、両親と行った旅行で撮った富士山

コーチとしての今後の道


  子供のように無邪気でありたいとも思う。しかし、子供は自分の世界しか見れず、全体を判断できず、痛みを重ねていく。そのうち、痛みを受けるのが怖くて、自分を傷つけないようにと守りに入り、本来の自分ではない信念を創り上げてしまうこともあると思っています。

  もし今、何かで悩んでいたり、ストレスを感じている人がいたら、その状態がとても大切です。人生を通して本当に在りたい自分を築き上げていくために、過去を含めて自分の全てを受け入れて、今後どういう自分になっていきたいかを考える「今」が大切。成功したことも、後悔したことも、その時のベストな選択をしてきたという自分への尊重を忘れず、そして、今ここからどうしていきたいかという新しい選択をしていく。そうすることで、軽やかにハッピーに、そしてエネルギーを本当にやりたいことに遣っていける自分になっていくことができると信じています。

  コーチングを通して、その人の滞りを流して、本来の力を発揮し、生き生きと働き、活き活き生きることができるようにサポートしていきたいと思っています。そして、全ての人が自分という「個」を最大限に活かして、お互いを尊重している世界を目指していきます。私自身も常に循環と成長を求めていく道を進んでいきたいと思います。長文になってしまいましたが、ここまでお読みくださりありがとうございました。

藤井宏美